オンラインイベント「あの記事の人に会いたい」レポート①

2021年4月~5月、3回にわたってオンラインイベント「あの記事の人に会いたい」を開催しました。ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

コトノネに登場した方(連載も含む)をゲストに、読者の方からオンラインでインタビューをしていただくという、この企画。今回は、東日本大震災から10年の節目に発行したコトノネ37号から、毎回1人の方をゲストに招待。3人の読者のみなさまが、ご自身の経験と重ね合わせながら率直な質問をぶつけてくださいました。

このコラムでは、イベントの様子と参加された方からの感想を、抜粋してご紹介します。

◎第1回(4/21)

ゲスト:多田伸志さん(NPO法人岡山マインド「こころ」代表理事)

2018年の西日本豪雨では、多田さんが代表を務める岡山マインド「こころ」の利用者たちも被災。その後、利用者が中心になって、真備から避難した人たちを招いてビールをふるまう「地ビールと音楽の夕べ」、仮設住宅で孤立する人の移動支援・生活支援などをはじめます。読者インタビュアーの前廣美保さんから、精神障害のある人たちとのまちづくりについて、話を聞きました。

イベントの最初に、「あの災害を経験されたから、真備では障害者と支援者が対等になれたんじゃないですか?」と前廣さん。多田さんは、「あの水害からもらったものはすごく大きいです。精神障害のある彼らが、いままで以上に、まちの中に普通にいるんですよ。彼らには、まちに恩返ししたいっていう気持ちがあるんだと思います。水害後にいろんな取り組みをしていく中で自信がついたというか、苦しくても、たおやかになりました」と話します。

これまで40年以上にわたって、精神障害者の支援に携わってきた多田さん。「家族に障害者がいるわけでもない多田さんが、どうしてそこまでできるんですか?」というコトノネ編集部からの質問には、「趣味です」とニッコリ。「自分は恵まれている、誰かを踏んづけてきたっていう後ろめたさがずっとあって。だからストイックに、まだダメだ、こんなんじゃダメだ、と思ってやってきたんですけど、50歳を超えたあたりから楽になりました。別に何か、きっかけがあったわけじゃないんですけどね。いまがいちばん幸せです」。

【参加された方からの感想】

精神医療の枠内だけで何かをしても変わっていかない。実は地域に出て、地域の力を借りていくこと…。共感です!!(Sさん)

今回伺ったお話の中の言葉の数々から、精神障害を持つ人たちを支える温かい人の輪が見えたような気がします。私は夫が岡山市出身で、しかも夫以上に岡山という場と人が好きなので、岡山マインドという響きだけで「もう、絶対に素敵な人たちだ」と思っていましたが、多田さんのお話を伺って確信に変わりました。前廣さんとの言葉のキャッチボールも楽しかったです。(Aさん)

多田さんのお話を初めて聞き、自分が今、悩んでいる事も少しですが、違う視点で見ることができるヒントを貰った気がしてます。重い心が軽くなりました。聞いていて涙が出てくるようでした。(Kさん)

【読者インタビュアー・前廣美保さんコメント】

2018年7月の水害被災を受けて、障害を抱えた人々が地域の回復過程にどう参加したのか、多田さんの記事とコラムを読んで気になっていました。半年後に真備に行く機会があったのに多田さんには会えなかったので、今回の企画に喜んで申し込みました。マインドこころのビールを用意して臨んだ本番では、打ち合わせよりも抑え気味の多田さんに思ったより突っ込めずに時間切れに。同じ地域で同じ困難を経験したことで、障害とか病気とか健常とか普通とかの枠が外れて、「助け合う」ことができたこと、つづきはやはり真備に押しかけて話を聴くしかないですね。仲間と音楽とビールで地域を楽しくする輪に入れて欲しいので、ぜひお願いします。編集部のこぼれ話と、参加者からの感想もありがたくて、コトノネのつながりに感謝しています。ありがとうございました。

第2回レポート(ゲスト:岩崎航さん)

第3回レポート(ゲスト:野々村光子さん)