【真備町のいま 岡山マインド「こころ」より 多田伸志】真備町に人がいなくならないように、故郷がなくならないように

ビアマビ-01

これから、岡山マインド「こころ」の代表、多田伸志さんに「真備町のいまと、これから」を書いていただきます

こんばんは、真備は夕焼けがとてもきれいです。7月12日からマインドを助けてくださった仲間のみなさんは、毎日かわるがわる、新しい人を連れて泥のかきだしに来てくださいました。14日(土)からの三連休でいったんマインドのボランティアセンターは閉じようと思っていましたが、泥のかきだしの依頼は増えるばかり。18日からは市の災害ボランティアセンターからボランティアの人たちを派遣してもらいながら、まちの人と丁寧につないでいきます。今日も69名の人たちがマインドからまちに出かけてくださいました。約30軒の家が息をし始めました。

家々はぽっかり口をあけたムンクの絵のよう…私が今一番心配なのは、このまちから人がいなくなること、お店もなくなってしまうことです。マインドのみんなでやっと積み上げた人と暮らす風景がなくなることです。私たちのグループホームがまちの中にあっても、周りにひとがいない…こんな寂しいことはあり得ない。真備は本当にいいまちです。「このまちでもう一度、みんなで暮らそう」、この旗を早く上げたい。復興のテーマは「仲間」と「音楽」と「ビール」かなと思ってます。

新しいまちのイメージと、復興に向けてのガイドラインをまちのみなさんと、やる気のある支援者の皆さんで創り上げましょう。国の復興予算にこのガイドラインを作るための予算をとってほしい、そう願っています。この作業は急ぎたいと思います。

水に沈んだ家々は取り壊され、新たなまちができる…再び水に沈まぬよう、1階部分を鉄骨でかさ上げし、大切な暮らしの部分は2階へ。エレベーターを付けて、鉄骨を楽しくデフォルメしても大きな土木工事をするより圧倒的に安価です。流れてもいい1階部分は楽しい空間になります。お年寄りから子どもたち、障害があろうとなかろうと、みんなが笑顔で暮らせるダイバーシティーを本気で創りたいと思います。

歌手の沢知恵さん、ハンセン病療養所大島青松園でコンサートを開き続けて18年、私たちマインドをいつも応援してくださる同志です。沢さんがモンゴル800のキヨサクさんと一緒に、真備でうたいたいとおっしゃっています。全国の方々から支援の声をいただいています。

私は今、この夢を実現するための仲間づくりと、実現に必要な「お金」をマインドに預けていただく妄想を描き始めています。真備町に人がいなくなる前に、故郷がなくなる前に、必ず。

 

多田 伸志

被災直後のメールをご紹介したコラムはこちら
【コトノネ編集長のおまけ日記】多田さんの施設全滅。悲痛なメール