「稼ぐだけ、稼ぎたい」!働く障害者たちによるシンポジウム、開催

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一人ひとりの思いを、聞こう

2月8日(水)、千葉市民会館で千葉県内の就労継続支援A型事業所(※)で働く障害者たち自身が企画、準備、運営を行うシンポジウムが開催され、約200名の人が集まりました。(主催は、千葉県就労継続支援事業A型連絡協議会)

県内のA型事業所で働く障害者を対象に行われたアンケート調査の結果報告が行われた後、「A型事業所で、稼ぐだけ稼ぎたい」と題して、実際にA型事業所で働く5名がパネリストとして登壇。それぞれの「仕事」に対する思いを語りました。

※就労継続支援A型事業所とは?
一般企業等で働くことが困難な人に、働く機会を提供する事業のこと。支援員がいるなど福祉的なサポート体制もあることから、「福祉的就労」とも言われる。雇用契約を結んで利用するのが「A型」で、最低賃金が保証される。そのほかに、雇用契約を結ばずに利用する「B型」事業所がある。現在、全国のA型事業所の月額平均工賃は約6万8000円(平成27年度)。

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「妹に給料をちょっとわけてあげたい」
オリーブハウス 橋本則子さん 仕事/アイスクリーム製造

「いまは、アイスクリーム班でアイスクリームをつくっています。ここに入った理由は、いままでお掃除班とかそういった仕事をしていて、給料が少なかったので、もう少しお給料が稼げるように働きたいと思って、選びました。一般就職も考えているんですが、みんなと仕事ができて楽しいので、迷っています。いまの給料は5万円くらい。できれば9万円くらい稼ぎたい。わたしには妹がいて、別の福祉施設に通っているんですが、お給料が少ないんです。なので、妹にちょっとだけでも給料をわけてあげたいと思っています。」

「自分の車で、もっといろんなところに行きたい」
サニーロード八千代 齋藤 一樹さん 仕事/ネット担当

「仕事は軽作業が中心です。入ったときは、いまの半分以下くらいしか仕事ができませんでした。人と比べるとまだまだなんですけど、できるようになったことも増えてきたので、なんでも挑戦してみようかなと思っています。お給料は、9万円ちょっと。できれば13万円稼ぎたいです。ぼくは足が悪くて電動車いすだと、乗れるものが決まってしまって、バッテリーのこともあるので、なかなか遠出できないんです。あと4万円あれば、貯金していって、なんとか車を買えるかなって。自分の車を持って、もっといろいろなところに行きたいです。」

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「1ランク上の生活を目指したい」
オリーブハウス 安西 一己さん 仕事/弁当製造

「今年から自立生活ということで、一人暮らしをはじめました。仕事はお弁当製造をしています。食べ物商売は波があるので、忙しいときは忙しいんですけど…、ひまなときにも何かオードブルとか、つくれるといいですよね。もう少し稼いで、1ランク上の生活にしていきたいと思っています。いま住んでいる家はトイレやお風呂が共同なんです。すべて自分でそろえてやりたいですね。結婚もしたいです。最終目標は一般就労です。調理関係の仕事をやりたいですね。」

「自分の会社を、立ち上げたい」
サニーロード八千代 新井重己さん 仕事/ネット担当

「『稼ぐだけ稼ぎたい』は、サブタイトル案として、わたしが考えました。アンケートの結果が、いまのお給料では足りない、でもいまの事業所でもう少し働きたいという内容だったので、であればA型事業所でもらえるだけもらおうと。わたしは高次脳機能障害と半身まひが残っています。以前勤めていた会社は、映画に出資して大当たりしたんです。現場の手伝いもやらせてもらって、楽しい経験でした。なので、もう1回挑戦したいなと。ゆくゆくは自分で起業したいので、とにかく会社を設立できるだけのお金をためていきたいと思っています。」

「自分の努力と気持ちで、すべてが変わるんじゃないかって」
一休堂 山本直一さん 仕事/しいたけ栽培

「16歳のときに事故にあって、生きるか死ぬかの状態になって。そこからリハビリをして、歩けるようになって、まだ言語障害があるんですが、なんとかしゃべれるようになりました。最初に勤めた会社は好きな女の子に会うために抜け出してクビになってしまったり、いろいろあったんですが、三度目の正直で、ここに就職しました。いまは配送の助手を任されているんですが、その業者さんの仕事ぶりを見ているとすごいなって。わたしともう一人で1時間かかるとしたら、その人は20、30分でやっちゃう。これが一般就労だなって。わたしはバカだバカだってよく言われるんですが、バカと天才は紙一重と言うので、でかい人間になる可能性を秘めているんじゃないかと思ってます。」

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(※それぞれの方の発言を再構成しています)