【真備町のいま 岡山マインド「こころ」より 多田伸志】601の「小さな声」を集めた

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大変ご無沙汰をしてしまいました。7月7日、七夕の日。あの酷暑の夏からもう8か月です。どう越すのか、気がきでなかった被災地の冬ですが、次第に寒さも緩み始めたような気がいたします。

11月1日、私たちは被災したビアホールで「お互いさまセンターまび」を開所しました。軽四3台で足を無くした人たちへの「移動支援」を始めました。ドライバーはみんな被災者です。町外の「みなし仮設」になっているアパートの一室へ迎えに行きます。待ってるのは足の悪い一人暮らしのおばあちゃん。階段を降りるのにゆっくりゆっくり、車に乗るまでに10分かけて、そこからかかりつけの病院へ。車中ではおばあちゃんしゃべりっ放し、止まらない。

55名ほどの利用者のほとんどが女性です。旦那は死んだか倒れたか…。発災後、家の片付けの最中に倒れた夫の付き添いに、泊りがけの片道30キロを通うおばあちゃん。遠く神奈川から駆けつけた、ボランティアの人たちが運び出す泥まみれの思い出に、北風の中、椅子に座って、一つひとつ「捨てます」と言う90歳のおばあちゃん。女性のたくましさにいつも圧倒されています。

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まちはどんどん家が倒され景色が変わっていきます。新築されている家、リフォームされている家もあり、真っ暗だったまちに少しづつ灯りがともり始めました。ホタルの灯りのよう。まだまだ途方に暮れるまちの姿です。

子どもを抱えた若いお母さんたち…町外の「みなし仮設」から子どもたちは真備町の仮設校舎へバス通学です。朝5時に起きて、お弁当を作り、小学校の子をバスの停車場まで送り、次は幼稚園の子を送り届け、最後に中学生の子を送り。帰りも同じ、お迎えをした後、中学の息子を隣町のテニスコートまで送り、一緒に帰って22時に家族の夕食…こんな毎日を生きています。
バスを迎えに出るとき、同じ幼稚園のママ友から「あなたの家は全壊でお金がたくさんもらえて良かったね」、たった5分の中で仲の良かったママ友からかけられる悲鳴の言葉に打ちひしがれる、そんな毎日が続いています。

12月19日、私たち真備連絡会(町内の20ほどの医療福祉関係機関・行政・社協などの任意の会)は自分の事業所の利用者さんを中心に601通のアンケートを取り、倉敷市に「復興ビジョン提案書Ver.1」を届けました。みんな被災している中で、「声の小さな人の声から復興を考えよう、新しいダイバーシティーをつくろう」と。

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毎月第三土曜日には、まちのみんなで集まるイベント「まちコン(旧地ビールと音楽の夕べ)」を続けてきました。「お互いさま復興を考える会(勉強会)」も4回、熊本で被災地障害者支援センターを立ち上げられた熊本学園大学の東俊裕先生、阪神淡路から高齢者を見守ってきた宇渡幸子さん、気仙沼から子どものプレイパークをされてる神林俊一さん、そして最後に、鬼怒川の氾濫で水に沈んだ常総市から横田能洋さんをお招きし、新しいまちづくりを学ばせていただきました。
水没したグループホーム8部屋、どこにも借りれる部屋がない…新築で建て直すことにしました。全壊したマインド作業所は日本財団さんが修繕してくださることになりそうです。やっとめどが立ってきました。まちが失ったものも大きかったですが、いただいたものの方が大きいのです。私たちは新しいまちづくりに向かいます。

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私たちはこの春、「真備連絡会」の有志で一般社団法人を立ち上げます。これから10年以上、このまちを見守り続ける組織、「小さな声」から始める「お互いさま復興」を目指します。これまで本当に大勢のボランティアの方々や支援してくださったみなさんに助けていただきました。でもこれからは被災した私たちが自分たちで起き上がっていきたい。3月30日(土)に設立総会と記念コンサートです、ギタリストの吉川忠英さんが駆け参じてくださいます。

倉敷市のライオンズクラブの方々が、ライオンズクラブ国際協会の基金へ真備復興支援の申請を準備してくださっています。もしかしたら、農福連携、学校給食を見据えたカット野菜の加工・冷凍施設を備えたカフェ、居場所、多様な人々が交じり合う道の駅…そして福祉避難所の機能も備えた建物ができるかも…ダイバーシティーへの旗印…こんな妄想もあります。

「真備町復興プロジェクト 一緒にやろう!」には、総計7,231,048円(2/1付)もの「志」金をお預けいただきました。みなさん、本当にありがとうございました。第二次配分(3,231,048円)先の選定を年度内に行う予定です。マインドのホームページからご報告させていただきますので、よろしくお願いいたします。

とりとめもなく並んだ文章は、今の私そのものですね。止まらない…自分を止めれない。くたびれ果てても、朝を迎えて泳ぐマグロ…やはり狂ってます。この16年間そうでしたが、際立ってる、仕方ない性ですね(笑)。「お互いさまセンターまび」のフェイスブック、見てやってくださーい!