【超・幻聴妄想かるた、できました 新澤克憲】第9回 私の好きな場所  ~トークイベントのお誘い

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唐突な話ですが、自分の現場をどんなふうに、外に向かって語るかということをよく考えます。

私の中にはハーモニーという場では利用者も、スタッフも、ボランティアも、お客さん達も「同じ船に乗り合わせている」という感覚があって、その中で起きる様々な出来事、利用者の人たちの日々の様子や、自分語り、表現というにはささやか過ぎる何かの「兆し」、それから、乗り合わせた船の中で起きる人と人の「化学反応」の中に、大事なものが隠れていると思っているのです。

そのことを言葉にしたり、伝わりやすいようにとイベントを考えたりします。

しかし、私が大事だと思っていることは、外にいる「自分は障害や福祉とは無関係だ」と感じている人には、なかなか届かないものです。「共感できる所を探しながら、異質のものたちが隣り合っている」、そんな着地点を探りながら「障害や福祉をなんとかしなきゃ」以前に「実は、自分も同じ船に乗っているかもしれない。わたしたちの問題は地続きだ」と気づいてもらえるところまで行けないかと思いをめぐらしています。

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カット:モロ米

11月30日の「今宵は幻」の3回目のゲストは、私のリクエストで鈴木励滋さんにお願いしました。鈴木さんは、横浜の旭区にあるカプカプの所長です。私は講演会などで聞く鈴木さんのメンバーたち(「カプカプーズ」)の話が大好きです。
隣の蕎麦屋の大将に憧れている人、「左利きの男の子」に魅入られた人。時と場合によっては、ちょっと困ったなと思われてしまうかもしれないカプカプーズのこだわりを、まるごとOKにして、新しい関係へとつないでいく。そんな場作りは、鈴木さんのどんな思いと繋がっているのだろうか。
また、「『そこにいる』ということも含めてあらゆる表現をその人のかけがえのない働きとしたい」と言う時、鈴木さんは「表現」をどのようなものと考え、カプカプーズの「表現」とどう対峙しようとしているのだろうか。そして、これからそれをどんなふうに展開していきたいのだろう。興味はつきません。

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それがどういうわけで、表題にあるように、福祉の話をしないことになったかという理由は、こちらで少し書いているので読んでいただければと思いますが、元をただせば、福祉業界で理想と共に語られる言葉に対して、私自身が懐疑的であるのも確かです。時間があれば、その話も出来ればいいかもしれません。

11月30日は、福祉を大きな言葉で語る会ではありません。自分たち影響を受けた本や映画を紹介するのが中心です。鈴木さんは演劇の批評家としても活動されていて舞台やマンガの知識も豊富。それらの表現活動から得たものが、どんなふうに、今の仕事に繋がってるのか。鈴木さんの仕事の「元ネタ」のようなものが見えてくるかしれません。時間が許す限り、話していただこうと思います。合間にひとつふたつ、私の好きな本や映画も触れられたら、お互いの個性が際立って面白いかもしれません。

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今回、「今宵は幻」の打ち合わせで、カプカプに足を運びました。といっても、ここに来ると、ノンビリした空気に脱力して、あまり仕事をしようと言う気持ちがなくなるのが不思議です。急かされている気持ちにまったくならないので、なかなか本題に入らず、フラフラと散歩に出たりします。
私が訪ねるのは、イベントではない平日の午後。カプカプーズのみなさんは、出かけていたり、中にいてもそれぞれの時間を過ごしていることが多くて、ゆるい時間が流れています。適度な「放っておかれている感」があって、それがホッとするのです。それもこの場所の「接客」なのかもと勝手に納得しています。

時々、団地のご婦人たちがやってきます。不思議なことにカプカプにやってくる近所のご婦人たちは、挨拶なしにいきなり話し始めるのです。扉を開けると同時に、間髪いれず「○○ある?」「△さんだけどね」と鈴木さんに話し始めます。前置きがない。これはちょっと謎だ。
それから、カプカプには、物が沢山あります。店の外には売り物のリサイクル品の衣類や雑貨。それから、店内には所長の鈴木さんのものと思しき本や委託販売の小物、オリジナルグッズやチラシも色鮮やかです。

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カプカプには『ザツゼンに生きる- 障害福祉から世界を変える カプカプのつくりかた』(2016年)という冊子があるのですが、確かにカプカプの空間は雑然と言えなくもない。「ザツゼン」に込められたものは何なのだろうと、ここでも好奇心が尽きません。

こんな緩いトークイベントですが、お時間ありましたら、ぜひご来場ください。

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ハーモニーの今宵は幻
第3回「所長が福祉の話をしない夜 ― カプカプ、ハーモニーができるまで」

日 時:11月30日(土)19:00~21:00
出演者:鈴木励滋 (カプカプ)
ホスト:新澤克憲(ハーモニー)
定 員:20人
参加費:1,500円
場所:Readin’ Writin’ BOOK STORE(東京都台東区寿2-4-7) tel.03-6321-7798

<お申込み>
ご参加をご希望の方は、お名前、連絡先を明記のうえreadinwritin@gmail.comまでお願いします。

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新澤克憲
1960年広島県生まれ。精神保健福祉士、介護福祉士。1995年よりハーモニー施設長。
就労継続支援B型事業所ハーモニー
東京都世田谷区にあるスペース。リサイクルショップ、ものづくり、公園清掃ほかさまざまな仕事を行っている。現在、30人ほどが利用している(2019年)。1995年に精神障害のある人たちが集う「共同作業所ハーモニー」として開所。2006年にNPO法人化、2011年に就労継続支援B型事業所に移行。