【梶原真智 連載コラム ワンハンドキッチン】偶然のガイヤーン
暑さが意欲奪う夏がやってきました。毎年のことながら呼吸すらも圧を感じてしまうこの季節。気温の変化に体調が左右されやすい自分にとって、この時期どう過ごすかは重要な問題です。特に危うさを感じるのは食欲までも低下して心身弱っていくこと。使えるカロリーがないから当然ながら痩せてしまい、眠る体力すらなくなってしまうこと。天気予報で告げられる気温の1度にも過敏に反応してしまう。いつもはのんびりマイペースなのにちょっとカリカリしたりして。アウトドア好きの両親と楽しんでいたこの季節がまさかの重荷になるなんて思ってもいなかったのですが、これが今の現実。でも。
一日のスタートは早朝の畑仕事と決めているのですが夏が近くなるにつれ、日が昇るタイミングは段々早くなって明るくなる前にじっとりとした暑さが満ちてきます。困ったなあの状況が作り出すのはため息だけのように思うのですが、季節のしんどさが結ぶ出会いもあって。昨年以降「大丈夫?」「今日もがんばるねえ」「お茶でも飲んでいきなさい」「これ味見してみない?」と声かけあう畑周りの交流から世代を超えた友人が一人また一人と増え出しました。黙々と土いじりをしている自分を見かねての声掛けだったのかもしれません。それでもわいわいと賑やかな時間も楽しみになっていったのは一人暮らしには嬉しい偶然でもあって。みえない波に押されるように、今では作業終わりにご近所さん同士お茶するのが当たり前になりました。不思議なことに出来た野菜の小ぶりなものやキズあるものを物々交換したり、おいしくする食べ方を教えてもらったりしながら過ごす内、身体は確かにしんどいのだけど誰かと一緒なら気張らずに“ちょっとは食べられる”ようにもなっていって。
作った野菜を大切に食べていくのは意外と一人では大変で、どんなに工夫しても同じものばかりだと飽きてしまう。物々交換を繰り返すと旬のおいしいは揃うのだけど加工するのは実は一苦労。マイペースに集まった友人の平均年齢は低くはなくて、一人ならまあいいかという気休めはなんとなく共通する思いでもあるのがなんとなくお互いに分かってくる。ああ、自分だけじゃなかったというほっとした感覚は健康には良くないのだけど、少し嬉しい発見でもあって。
ある日作りすぎてしまった甘めな煮物(西日本の甘みが立つ味付けは東日本の方には好まれないことがある)を「これ作ってみたんだけど」思い切って持って行ったところ、意外な程に食べてもらえて「じゃあ今度は私が」「明日は私ね」とその日から持ち寄り朝ごはんが始まりました。ささやかなおかずでも一緒に食べるご飯はやっぱりおいしい。たまに変わり種というか最近の味や違う国の味付けを持ち込むのだけど、それはそれで面白いと笑い合える。そうした時間もおいしく感じる。人の健康を支えているのは、知恵や知識や経験だけじゃなくて実はこんなゆるやかなつながりなのかもしれません。
【作り方】
①鶏肉を漬け込む
※ビニール袋にAを入れて鶏肉をもむ
※袋の空気を抜きながら口部分を閉じる
※(できたら冷蔵庫に)30分以上置いておく
②葉物野菜は小さめにちぎる
※パクチー、レタスなど焼き上がりに添える用として用意
③鶏肉の皮目を下にしてフライパンに入れる
※蓋はしない
※四角いフライパンが使いやすい
④弱火で片面15分触らずに焼いたら、返して5-6分程度(時間はあくまでも目安)焼く
※面が広いターナーを使うと返しやすい
※十分に火が通っていることを確認する
⑤食べやすい大きさに切り、盛り付ける
※もち米やそば米など添えて染み出る焼き汁も一緒に食べるのもおすすめ
便利なチカラに頼るのは勝ち負けじゃなくて使う知恵
あ、これもありだなの受け皿を自分の中で大きくする
自分自身のアップデートは時に勇気もいるけれど
おいしいの基準だって自分で作っていけばいい
元気になるもと詰まっているかの地のガイヤーン、出来ました。
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