【梶原真智 連載コラム ワンハンドキッチン】 つぶやきのお椀

onehandkitchen

暑さは苦手。寒いのと違ってコントロールできない息苦しさにため息すらつけなくて、ただただもうぐったりとしてしまう。体調管理が難しいそんな時期になってきました。もわっと湿度多いこの時期は特に身体にこたえます。みなさんはいかがでしょうか。

生活のいろいろには発見と工夫でなんとかしている自分ですが、身体の調子が整わない時にはやはりつらくなってしまいます。怪我の影響で顔以外に汗がかけなくなって、はや16年。ただこれだけの事実がこんなに辛いなんて、想像したこともなかったのですが、唯一暑さだけはどうしようもない。体の内側にこもる熱にじわじわと体力を奪われて今日もまた手放せないのが、冷たいペットボトルと保冷剤。スポーツをしている時は気化熱の利用で霧吹きを使い、都度浴びながら動き回るので若干の調整はきくのですが、さすがにオフィスや室内で水はバラまけない。エアコンの利きすぎはかえって身体の動きを制してしまう。ハンデって不経済だな、なんてつぶやきながら、首から下げる小さなファンに髪乱しつつ過ごすこの頃です。

そろそろ夏らしいイベントが増えてきました。毎年ワンハンドキッチンの活動にも季節感あるお声かけが入ります。星空や花火、お祭りにいいもの素敵なもの。使えるアイテムや方法の練習もしながら、世代を超えたお付き合いもじわり広がっています。今年はどんな方と知り合えるのかな。基本は裏方、厨房やテントの影から外を覗くくらいだったけれど最近はそんな新しい楽しさにも少しだけ目を向けられるようになってきました。顔しらぬSNSの申請はまだまだ怖いけれど。

ハンデある手に道具は使えない。そんな当事者もたくさんいます。提案する全てがけして叶うわけじゃない。それでも料理がしたい、お腹の中から元気になりたい。できるをつくるのが今の自分だから、参加する方ひとり一人に丁寧に向き合う。効率や汎用性が求められる場面はもちろんあるけれど、今あるチカラで今ある動きで何をどうしていくか。一緒に考え挑戦する。愚直ともいわれてしまうこの活動を続けているのはきっと、すてきな治療者には恵まれなかったから。もしかすると知ることで楽しいはつくれる、おいしいはできる、そんなメッセージが伝わってほしいのは支援者にだったりするのかもしれません。

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さて今回の話。蒸し暑い季節は食欲も落ちてしまう。食べなくちゃと思うけれど、身体が受け付けない。さてどうしたもんだろう?道具も少なくできるのがいいな。なんなら材料も。あれ?もしかして片手料理ってそんな時にもいいのかな?これは定番となっている、もともとは九州の郷土料理です。疲れて帰った夜にでも一度、試してもらえたら。

【材料】
おぼろ豆腐1/2個(3個パックの充填豆腐1個)、味噌大さじ1と1/2、冷たい水100-150ml(湯呑み1杯)、水煮サバ缶1つ、大葉・ごま・きゅうり・白飯 お好きな量

【作り方】
①豆腐の水気をとる
※つかみにくいシートは切る他に、ヘアピンを使っても開けやすくなる
※ざるにキッチンペーパーを置くときは隅を一か所、折りたたんでおくと安定しやすい
※適度に掬い取ったほうがきれやすい00-200-3
②サバ缶をあけて、水分と中身をわける
※ざる付きのボールがあると便利00-4
③きゅうり、大葉は食べやすい大きさにする:A
※ちぎったりつぶしたりも作り方の一つ00-500-6
④豆腐とサバ缶中身をつぶす:B
※マッシャーの柄は短めの方が使いやすい
※潰すだけじゃなくてかたまりを突き壊したり、食材を寄せたり持ち方を変える00-7
⑤水、味噌、ごま、サバ缶水分を合わせる:C00-8

⑥白飯にABCを好きな量かける
※トッピングにすりごまや海苔、あられ、他の香味野菜(ネギ、ミョウガ、山椒など)を追加してもおいしい00-9

かたちあるもの、みえるものはわかりやすいけれど
わかりにくいからこそわかる、そんなものがあってもいい。
ごちゃまぜのつくる空気の感覚も
ひらがなだらけの文字の感覚も
ありだなと受け止めることができたとき
おいしさの幅を知るつぶやきのお椀、出来ました。

これまでのお話は、コチラ