【コトノネ編集長のおまけ日記】多田さんの今② 作業所をボランティアセンターに

コトノネ編集長のおまけ日記

昨日11日に、岡山マインド「こころ」の代表多田伸志さんから、真備町の様子についてメールをいただきました。

あれから9日(月)は、1日まきび病院で避難所に逃れ、薬がない患者さんへの対応や、水没した職員さんの車の移動などの雑務に走り回りました。まきび病院は町内全てが断水の中、何とか給水車で補給される水を町内の人たちに使っていただけるよう、「トイレ、水、あります」と道路に看板を出しました。20数名の職員が被災しました。災害発生から家にも帰らず、自分の家も被災した中で踏ん張っていました。この夜、水も引き始めており、マインドの作業所まで車で行くことができました。道中、私たちがゴムボートで運んでいただいた水面は電信柱の上…真っ暗な中に浮かぶ作業所に言葉を失いました。

10日(火)、この日から私はまきび病院で踏ん張っている人たちには大変申し訳ないのですが、水に浸かった岡山マインドの方へ。水は昨夜より1メートルほど引きましたが、まだまだ低い土地は水没中。地ビール醸造所とビアホールの建物は床上80センチまで水に浸り、内部は泥だらけで家具も散乱してグチャグチャ。そして昨夜外から影を眺めたマインド作業所へ。そこは2階の床上30センチまで水に浸かり、全てが跡形もなく、窓ガラスは水圧で割れ、製麦プラントも音楽室も子ども食堂もすべてがおぼれ、息をしておりませんでした。スタッフのみなさんと駆けつけてくださった数名のボランティアの方々が来てくださって、本部の片付けを開始。岡山の運送会社さんが4トントラックで水のタンクと高圧洗浄機をお持ちくださいました、水は本当にありがたかった、ご近所の方々に伝え、給水所ができました。気が付いたらもう夕刻前…あ、明日からのことを考えないと、私は「あじさい問題から考える会」のみなさんや知人に「真備を助けてください」と呼びかけました。初めて自分から発信しました。みなさんが「その言葉を待っていました」と励ましの言葉をくださいました、このときはじめて泣きました。

11日(水)、急な呼びかけにもかかわらず、多くの人たちがはせ参じてくださいました。その数50名以上、自分の事業所をそっちのけで利用者さんと一緒に来てくださったり、泥に埋まったマインドを掘り起こし、洗い流し、拭き上げてくださいました。マインドは生き返りました。私はこのビアホールを「ボランティアセンター」にすることにいたしました。まちの外には支援を申し出てくださる大勢の方々がいることを知りました。まちの中は粉塵にまみれ、まだまだ手付かずの家々、事業所、そして避難所に残された多くの人々…公的なボランティアセンターが立ち上がるまで、マインドがつなぐことといたしました。明日は町内のA型事業所へ泥の掻き出しにみなさんの力をお借りします。

多田 伸志

 

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