【コトノネ編集長のおまけ日記】選手のいないサッカー・フィールド

コトノネ編集長のおまけ日記

試合は、フイっと終わった。ろうそくの火が消えるように。
ロシアWカップ、日本とポーランド戦。決勝トーナメント進出を決めた選手は、うっすらと笑っている。苦笑いではないが、恥じらいのように見えた。15分間ほど、バックでボールを回し続けた。敵のポーランドも奪うそぶりもなくなった。意図に共感したのか、あきらめたのか。無理に追いかけて、足をすくわれて、虎の子の1勝をなくすのが怖かったのか。お笑いのようなアディショナルタイムも終わった。
 
いろいろな思いがあり、いろいろな意見が出た。西野監督の決断を称える意見も多かった。そりゃ、そうだ。西野監督の作戦で、決勝トーナメント戦に行けるのだから。フィールドにいる選手ではなく、ベンチにいる監督だけが試合をしていたのだから。

西野監督は大博打を打ったものだ。セネガルが1点を返して、引き分けに持ち込むこともありえただろう。サッカーは1分あったら、何が起こるかわからない。そのとき、戦わないことも、戦略だと認めるだろうか。それとも、意気地のないやつ、腰抜け、姑息、恥さらし、ただ結果だけを求める腑抜け、などなどサッカー史、ワールドカップ史に残る汚名を一人着るのではないか。そう思うと、西野監督の度胸はすごい。

さらに、決勝トーナメントの第1戦、ベルギーに大敗したらどうだろう。負けても、勇敢に戦い、善戦したら、やっぱり、ポーランド戦はあれでよかったね、と言われる気がする。しかし、巷の声はどうなるのだろう。マスコミは、どうするだろう。そんなにサッカーが好きな人が報道するわけでもないだろうから。巷の声に迎合する、あるいは先走って、実力がないのにこんな姑息なことまですることなかったのに、と手のひら返しになることはないのか。西野監督の賭けはまだ続いている。

選手は、どうだろう。自軍でボールを回した選手は?ベンチに座って見ていた選手は?俺が出れば、シュートを決めるぜ。堂々と決勝戦にいくぜ、と見つめていた選手はいないだろうか。そんな思いの選手が、最後の最後まで走り回ってくれたら、ぼくは、エールを贈るな。どんな結果でも、興奮して落胆して、満足して眠る。コロンビアに勝てただけでも上出来じゃないか、と言いながら。

これは、ルール違反ではない。けが人が出たためにけり出されたボールを、相手チームに返さなくてもルール違反ではない。これはマナーである。さて、どっちが重いのだろう。

わたしは、いいも悪いもわからない。誰も責める気はない。ただ、疑問ばかりが浮かぶ。敗戦の後、決勝に上がれる結果が出た瞬間、選手は誰も驚喜、歓喜しなかった。わたしも、絶叫しなかった。夢が達成したのに、感激がないって、どうなっているの。

明日3日(火)の深夜、2時過ぎでしたか。ベルギー戦も見るつもりだが。