コトノネだらだら座談会 のぞき見版【3月23日 守山友加乃さん】

のぞき見

3月のコトノネだらだら座談会では、美容師の守山友加乃さんがお話してくれました。守山さんは、美容歴17年。美容室やブライダルのヘアメイクなど幅広く活躍。現在、中目黒の美容室で働いています。そのなかで、「福祉美容」に興味を持っていると言います。どんなきっかけがあったのでしょうか。

「昨年、母が亡くなったんですけど」と守山さん。最後の半年は座ったきり。起き上がれるものの、お風呂にはデイサービスの方にお願いして週に数回。よく「髪を洗ってほしい、気持ちがすっきりするから」と言われていたそうです。しかし、お風呂へ連れていくことも難しく、寝たまま洗ってあげられる介護用品も高額で購入できず、やってあげることができなかったそうです。「障害のある方が不安を持たずに通える美容室は多くないってことに気づいて…そういった方にも届けることができたらって思ったんです」。現在、守山さんが美容室で取り組んでいるのは、ヘアドネーション。病気などが理由で髪を失った子どもたちに無償でウィッグを提供するというもので、昨年は100名以上の方が髪を寄付してくれました。

また、児童養護施設のカットボランティアとして毎月7、8名ほどのお子さんの髪を切るそうです。そのなかで「美容って、福祉業界のなかではあまり重要だと思われてないのかな」と思わされることがあったとか。ボランティアで七五三の着付けとヘアメイクをしたときに、「時間がかかってしまう」という理由で今後の実施を断られてしまいました。「でも、認知症のお年寄りが定期的にカットやメイクをしてから、笑うようになったということも良く聞くんです」と守山さん。

守山さんには、これから取り組んでいきたいことがあるそうです。まず、バリアフリーな美容室をつくること。もうひとつは、ろう学校の理容・美容科の卒業生を雇用すること。目標に向けて、福祉の現場にいる人の話を聞きたい。そう思っていたと言います。「バリアフリーな美容院」って、どんな場所?障害のある方に来てもらうには?参加者も巻き込んで、話しあいました。

ある参加者は、「息子が自閉症で感覚過敏。親が髪を切ろうとすると泣きさけぶくらい。意を決して床屋さんに相談したら「大丈夫、大丈夫!連れてらっしゃい!」と言われて。今では、息子一人で行けるようになりましたね」と言います。動かずにはいられない子と、ハサミを持っている美容師。手元が狂って傷つけてしまったら…と美容師にこわがられ、断られることもあるそう。だからこそ「まず引き受けてくれること」。それが利用できるかの第一歩なのだそうです。作業療法士の視点から話してくれる方も。「美容室に行く理由っていろいろありますよね。失恋したから心機一転したくて。美しくなりたくて。スタッフさんに話を聞いてもらいたくて、とか。「髪を切って終わり」でもない、もっと意味のある場所だと思うんです。だから技術的なことの前に、信頼関係を築くことが大事。『この人はわたしたちを理解しようとしてくれている』って伝わらないと見えない壁はいつまでも解決できないのかなって」。

また、特性のある方のカットモデルを募集する、ネットの検索で見つけやすいように工夫するという提案もありました。「美容室で、障害のある方が描いた絵とか作品の展示をするのもいいと思うんです」と福祉事業所で働いている方。「事業所で作品をつくるんですけど、発表する場がない。かといって、事業所の中でやっても意味がないし。美容室でそれができれば、ご本人が在廊したり、お客さんや当事者、その家族にも自然な形でつながっていくんじゃないかなって気はしています」。

座談会の終わり際に、美容福祉の経験がある美容師さんが、飛び込みで参加!実は、参加者の一人が「同じ分野の人同士、情報交換できたら」と、知り合いに声をかけてくれていました。さて、どんな話をしたのでしょう。こんなつながりが生まれるのも、「だらだら座談会」の醍醐味です。

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