第18回ヤマト福祉財団小倉昌男賞の贈呈式が開催されました!

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障害者の仕事の創出や雇用拡大、労働環境の工夫などを通して、多くの障害者に働きがい、生きがいをもたらしている人に贈られる「ヤマト福祉財団小倉昌男賞」。
12月6日(水)に、贈呈式と祝賀会が行われました。

今年は、奈良の社会福祉法人ぷろぼの理事長の山内民興さんと、大阪の特定非営利活動法人ENDEVOR EVOLUTION理事長兼事業長の松浦一樹さんの2名が受賞、ブロンズ像「愛」と副賞賞金100万円が贈呈されました。

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山内民興さんは、東京でコンピューターの会社を経営するも、50歳のときに喉頭がんになり、手術。発声機能を失い、身体障害者となりました。その後会社を整理し、奈良で闘病生活を送った後に、地域ボランティア活動をきっかけに、障害福祉事業をはじめました。人が働くためには、まず生きる力をきちんと身に着けることが大切と、働く意欲や健康管理する力などから段階的に身につけることができる「総合的な就労支援プログラム」を独自に構築。多くの障害者を一般就労につなげていることに加え、基礎訓練終了後、ITの専門職を目指す人にはより専門的な技能を習得する場や、配慮がありながらもその専門性を発揮できる職場もつくるなど、総合的な視点から、就労支援事業を展開していることが評価されました。

山内さんあいさつより抜粋
「就労支援というのは、表面的なテクニカルな部分を身に着けることではなく、生きる力をきちんと身に着ける、自己理解とか自己肯定という言葉で表現しますけれど、そんなことがすごく大事です。それさえできたら、企業などは『うちで育ててやろうか』と必ず言ってくれると思うんですね。『働くことは人として日々を生きるための大切な行いである』という言葉は、僕がいちばん大事にしている言葉です。」

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松浦一樹さんは、大学で児童福祉と教育を学び、一度つまずいた子どもでも、やり直せる社会をつくりたいと警察官の道に進み、少年課を志望します。その後念願かなって少年課に異動するも、実際の現場で苦悩。知的障害のある青年を逮捕した事件をきっかけに、障害者や非行少年の居場所を、福祉作業所でつくりたいと、警察官の職を辞職。福祉施設に勤務して経験を積んだのち、特定非営利活動法人EVDEVOR JAPAN、そしてENDEVOR EVOLUTIONを立ち上げます。企業と協業し、高い工賃を実現しながら、つまずいても再び戻ってやり直せる移行型の要素を含むA型事業所を運営。自宅マンションの両隣をグループホームにし、寝食もともにするなど、障害者の自立支援に打ち込む姿が評価されました。

松浦さんあいさつより抜粋
「福祉の作業所で働いていたとき、ある研修会に行きました。そこで、『福祉はこれではいけない、もっと働いてもらって、高い給料を払わないといけない』と言っている講師の方がいました。ぼくと同じ思いの人がいると感動して。うれしくて、話しかけにいくと、そうか、がんばってね、とその後寿司に連れて行ってくれました。それが、小倉昌男さんです。いまこうして認められたことを、本当にうれしく思い、でも生きておられるときにこの思いを伝えたかったという風に思います。」

受賞者お二人のさらに詳しいプロフィール等は、ヤマト福祉財団のホームページをご覧ください。
https://www.yamato-fukushi.jp/works/award/18.html

写真:岸本剛